博多区剣道連盟理事長(審査委員長) 田中健一
令和6年度博多区剣道連盟下期昇級審査会を、令和6年11月24日(日)、福岡市立三筑小学校体育館で開催いたしました。受審者は、今回は総勢131名(欠席者2名除く)で、特に今回は1級受審者が42名でここ近年では最大の受審者となりました。各団体及び学校の指導者や御父兄の方々による剣道人口の普及と部員拡大への取り組みに努力していただいた結果であり心から感謝を申し上げます。
昇級審査においては、➀着装・所作、②姿勢・構え、③打突時の発声(気勢)と打突時の動作・足捌き、➃残心等を中心に審査します。特に、切り返しは、6級から1級まで受審者全員に課され、実技は級位ごとに課題が決められており、3級からは、『木刀による剣道基本技稽古法』が級位ごとに指定されています。以下審査員から見た内容と私が感じた事を申し上げ、今後の指導に生かしていただければ幸甚です。
一.発声(充実した気勢)について
発声については、審査員から各級位(特に1級男子)全般的に声が小さい・気勢を感じないとの指摘がなされる中、特に6級受審者については大きな声で元気がありました。1級受審者は、次は初段審査を受審することになりますが、合格に向けて尚一層の努力をお願いします。
- 着装・所作(礼法)と構えについて
- 礼法は剣道を習熟していくうえで欠かせないものです。審査受審前後の礼は相手をしていただく方に敬愛の精神で、お互いに心を込めて挨拶したいものです。
- 着装では、面紐は、結び目部分の不揃い等が散見されました。(2級・3級)
- 木刀による所作と構えは、日本剣道形(初段以上)と全く同じであり、かつ剣道の基本でもあるため、基本的な所作と構えの体得と指導をお願いしたい。
- 特に、中段の構えから、一足一刀の間合いと横手交差の理解ができていない。また、構えを解いた時の剣先の位置が非常に高い(正しくは相手の膝から3~6センチ下で相手からやや外れ刃先は左斜め下)。
- (3級・2級・1級)ため、正しい構えの体得と指導をお願いしたい。
二.打突時の動作と足捌き
➀切り返しでは、最初の素面は、左右の面を45度の角度でしっかりと打突しているが、一方の竹刀で受けた時は、面に届かず竹刀を打ち、かつ廻し打ち(横からの打ち)が多く見受けられた。竹刀で受けた場合においても素面と同様、相手の面の左右の位置に正しく打突するように心がけ、合わせて指導者には指導頂きたい。
②足捌きについては、切り返し時に元立ちが歩み足になっていない。特に6級等に多くみ見受けられました。初歩の基本動作となるためしっかりとした指導をお願いしたい。また、打ち込みや互角稽古では、左足が跳ね足になっており、左足の引き付けが遅れ体勢も崩れた打突になっているため、正しい足捌きの体得と指導をお願いしたい。
③木刀による剣道基本技では、正確に打突部位をとらえていない(打突部位に届いていない)。一足一刀の間合いを理解し、「基本1」から「基本9」までの技を正しく理解して稽古を行うことが大切です。木刀による剣道基本技1~9までの技は、実践の剣道(基本稽古や打ち込み、互角稽古・試合等)に繋がる重要な基本動作でもあるため、正しい木刀による剣道基本技の体得と指導の徹底をお願したい。